- 2024.12.13
- リスティング広告
リスティング広告とは?仕組み・費用・運用方法を初心者向けに解説!
リスティング広告(検索連動型広告)は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでの検索結果に表示されるテキストベースの広告のことです。
商品やサービスに興味を持っているユーザーに効果的にリーチすることで、他のウェブ広告に比べてコストパフォーマンスが高い傾向があります。
また、最低出稿額が設定されていないため、予算に合わせてフレキシブルに設定が可能で低予算での広告掲載が手軽に始められるといった利点があります。
本記事では、リスティング広告に新しく取り組む方、または基礎をしっかり学びたい方のために、「リスティング広告って何?」から押さえておきたいポイント、運用を開始するまでの手順について詳しく説明します。
▽この記事でわかること
- リスティング広告の基礎的な仕組みから必要な知識が身につく
- リスティング広告ならではのメリット・デメリットを理解
- リスティング広告の具体的な運用方法と上手くいくコツ
目次
リスティング広告とは
リスティング広告は、GoogleやYahoo! JAPANやBingなどの検索エンジンで、ユーザーが入力したキーワードに基づいて検索結果ページに表示されるテキスト形式の広告のことで、ユーザーが検索した特定の言葉に対応して表示されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれています。
リスティング広告は、特定のキーワードを検索したユーザーに対してのみ広告を表示するため、商品やサービスに関心を持つ可能性の高い顕在層にアプローチできるのが特徴です。
この方式は、ユーザーに広告がクリックされた時のみ費用が発生する「クリック課金」モデルを採用しているため、他の広告手法に比べてコストパフォーマンスが良いという利点があります。
電通が公表している「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
によると日本のインターネット広告費の39.4%は検索連動型広告が占めていることがわかり、「より多くのお客様を集客したい」「売上を伸ばしたい」といったビジネス上の課題を解決する際にもっとも用いられるWebマーケティング手法の一つです。
リスティング広告にはさまざまな呼び方があり、以下はすべてリスティング広告を意味します。
- サーチワード広告
- キーワード広告
- PPC(ペイ・パー・クリック)広告
- ペイドリスティング
- 検索連動型広告
広告媒体の種類(Google・Yahoo!・Bing等の検索エンジン)
リスティング広告を配信する際に最も一般的に利用されるプラットフォームは「Google広告」と「Yahoo!広告」です。リスティング広告を始めようと考えている場合、通常はこれらのどちらかを選択します。
それぞれGoogleやYahoo!の検索結果ページに表示されるだけでなく、GoogleやYahoo!が提携している他の検索エンジン(検索パートナー)の検索結果ページにも表示が可能です。
▼リスティング広告の検索パートナー
goo、nifty、BIGLOBE、Rakuten Infoseek、価格.com 、ライブドア、OCN、Aladdin、オールアバウトなど | |
Yahoo! | Live Search、MSN、日経ネット、朝日新聞デジタル、フレッシュアイ、excite、So-net、オールアバウトなど |
なお、2023年11月時点の日本国内での検索エンジンのシェアは、Googleは約75%、Yahoo!が約14%、Bingが約9%を占めています。そのため広告出稿を始める場合、まずはGoogle広告からスタートしてみるのがおすすめです。
検索エンジンのシェアご参考:Statcounter Global Stats
掲載される場所
リスティング広告が掲載される主な場所は以下です。
- 検索結果の最上部
- 検索結果の最下部
- 検索結果の2ページ目以降
多くの人がリスティング広告と聞いて、検索結果の1ページ目の最上部に表示されることを思い浮かべるかもしれませんが、基本的には検索結果の最下部や2ページ目以降にもリスティング広告が掲載されます。
また最近のGoogleの検索結果では中部にも表示されることもあります。
掲載されるフォーマット
リスティング広告は主に次の3つの要素で構成されています。
-
広告見出し/タイトル
一番目立つ部分で、ユーザーの注意を引くために使用されます。Yahoo!広告ではこれを「タイトル」と呼びます。 -
説明文
ここでは製品やサービスなどの情報をユーザーに提供します。 -
リンク先URL
クリックした際にユーザーが導かれるウェブページのアドレスです。
広告見出し(またはタイトル)と説明文には、文字数の制限があり、使用できる文字や記号にも制約があります。
さらに、広告文では使用できない表現(例えば「世界一」、「最高」などの最上級表現)もあるため、出稿前にこれらの制限を確認する必要があります。
↓リスティング広告におけるNGワードを確認する
リスティング広告のメリット
次に、リスティング広告の具体的なメリットを4つ紹介していきます。
購買意欲の高い顕在層に直接アプローチできる
リスティング広告の大きな強みは、特定のキーワードを検索した瞬間に広告を表示できることです。ユーザーはその検索に関連するニーズを持っており、解決策を探して検索を行っています。
例えば「掃除機 おすすめ」と検索するユーザーは、おすすめの掃除機を求めています。
この時点で、売りたい掃除機を表示させることで、「掃除機で人気のある商品かも」と認識してもらうことができ、ユーザーが求める悩みを解決できる商品を提供することができれば、クリックして、購入に繋がります。
つまり、リスティング広告を用いることで、実際に検討している購買意欲の高いユーザーに直接アプローチでき、その結果、コンバージョン率が高くなる可能性があります。
少額から開始できる
GoogleもYahoo!もリスティング広告の最低金額は設定されていません。そのため、少ない予算からスタートできることも利点の1つです。
一方でGoogle広告やYahoo!広告では、1日あたりに使用する最大金額(日予算)を設定することができるので、使い過ぎてしまう心配の必要もありません。
これにより、広告予算を自分のビジネスに適した範囲内で管理していくことができます。
参考:Google広告ヘルプ
即日配信可でリアルタイム管理ができる
即日配信スタートが可能でリアルタイムで改善できるという大きなメリットもあります。
リスティング広告は、管理画面から簡単に設定できるため、出稿するための複雑な手続きや媒体の担当者との調整が不要です。
そのため、いつでも迅速に広告掲載を開始することが可能です。
広告を開始したいと思ったその日でも審査はありますが、数時間後には広告を配信できます。
また、入札に成功すれば、検索結果の最上部にすぐに広告表示をできるので、インターネット広告の中でも特に即効性が高いです。
管理画面から必要に応じて、リアルタイムで迅速に改善していくことができます。
もし成果が思ったようにでない場合には、ひとまず停止し、改善策を施した後に再開していくことも可能です。
これにより、広告の効果を最大限に高めることができ、無駄なコストを削減できます。
SEOよりも即効性があり、コントロールしやすい
自然検索において上位表示させるSEO対策では、コンテンツ作成後も成果が出るまでに半年以上かかることがあります。さらに、どれだけ努力しても上位に掲載されるという保証はありません。
対照的に、リスティング広告では入札金額やキーワードの関連性によって、即日で上位に掲載される可能性があります。
リスティング広告は、ユーザーの検索があるたびにオークション制を通じて掲載順位が決まるため、実際の検索結果を見ながら適宜調整することができます。
この違いから、リスティング広告は迅速な結果と掲載順位のコントロールが可能な点で、SEOよりも即効性と調整のしやすさが特徴です。
また狙うキーワードだけでなく、ターゲットとする年齢、性別、居住地域、配信時間などを細かく設定でき、広告文については、複数のパターンでA/Bテストすることで反応が良い広告文を確認することができます。
リスティング広告のデメリット
リスティング広告はたくさんの利点もある一方でデメリットもございます。
競合他社との競争が激しい
当然ですが、広告を掲載するには必ず費用がかかります。
人気のキーワードについては他社との入札金額の競争が激しく、結果として費用対効果が低下する可能性があります。
また競合他社の広告内容を簡単に確認できるので、真似がしやすいという特徴があります。
他社の広告見出しや説明文のテキストを分析して、自社の広告文を改善したり、より引き立つ文面を検討することが容易なため、競合が激しくなりやすい傾向もあります。
広告と表示されるためクリック率が低い
リスティング広告は、その表示場所が検索エンジンの検索結果ページの中である程度、固定されています。
多くのユーザーは検索結果のどのエリアが広告であることを認識しており、無意識にこのエリアを見ることを避ける傾向があります。
たとえ魅力的な広告文があったとしても、広告に慣れたユーザーは「スポンサー」と表示されている広告文を読み飛ばしたり、見逃す可能性があります。
検索しない潜在層にはリーチできない
そもそも、ユーザーが検索行動を取る時点で、「知りたい」「買いたい」「行きたい」といった具体的なニーズや悩みがすでにある状態です。
しかし、検索行動を起こさないユーザー、つまりまだニーズや悩みが明確でないユーザーに対しては、リスティング広告はそれほど効果的ではありません。
リスティング広告を実施する際には、ターゲットとなる「誰に」「何を」訴求したいのかをはっきりさせることが重要です。
商品やサービスの存在にまだ気づいていない、もしくはニーズが顕在化していない層にアプローチしたい場合は、リスティング広告だけでなく、ディスプレイ広告やSNS広告など他の手法を組み合わせて最適なマーケティング戦略を考える必要があります。
運用にある程度の知識が必要
リスティング広告では、広告文だけでなく、ターゲティングや入札金額などの多様な調整が可能です。
これらの仕組みや機能を効果的に活用するためには、リスティング広告の運用に関する知識が必要です。特に、リスティング広告を含むウェブマーケティングには、多くの専門用語や略語があり、それらが初学者にとっては難しいと感じられることがあります。
また、その豊富な機能設定により、多様なターゲット層に広告配信が可能ですが、この機能の多さが、運用担当者の間で知識や運用能力の差を生じさせ、結果として、成果に大きな違いをもたらすこともあります。
さらに、GoogleやYahoo!などのプラットフォームは継続的に機能をアップデートしているため、最新の知識を常に更新していくことが重要です。
これには、GoogleやYahoo!が提供する公式のヘルプページなどの情報源を定期的にチェックすることが役立ちます。
リスティング広告に向いている企業・不向きな企業
リスティング広告に関心はあるが、『自社でリスティング広告を積極的に活用すべきか、それとも向いていないのか』という疑問を持つことはよくあるでしょう。
リスティング広告が向いている企業とそうでない場合を解説しますので、判断材料にしてください。
リスティング広告に向いている企業
リスティング広告が向いている3つの典型的なケースをご紹介します。
ニーズが明確化し、検索エンジンを活用するユーザーが多い
リスティング広告は検索エンジンを利用する人々に向けたものです。
自分のニーズに気づいている場合、例えば「ニキビ治療」を望んでいるユーザーに対して、近隣でニキビ治療を提供している場合、リスティング広告は有効です。
ユーザーの具体的な問いに対して、適切な配信エリアと広告文で応えることができるため、クリック率やコンバージョン率が高まります。
つまり、検索エンジンを使って、解決策を探す人々へのリーチに適しています。
競合が積極的に広告を出稿している
競合他社が継続的にリスティング広告を出稿している場合、それは彼らにとって成果があることを意味しています。
同じ市場や顧客層をターゲットにしている場合、あなたの会社もリスティング広告から利益を得られる可能性が高いです。
客単価が高い商材やサービスを扱っている
特に、BtoB製品、金融商品、不動産、リフォーム、美容やコンプレックス系のお悩み解決など、高い顧客単価を持つ商材を扱う企業にとって、リスティング広告は非常に効果的です。
これらの商材は、リスティング広告のクリック単価が高くなりがちですが、一度の成約で広告費を補うことが可能です。
例えば、歯科クリニックで100万円の「インプラント治療」をリスティング広告で展開する場合で考えてみましょう。
1クリックあたり1,000円の広告が100回クリックされ、その中から1件の成約に繋がったとします。
この場合、10万円の広告費用に対して、100万円の売上を得ることができます。
このように、顧客単価が高く、利益率も高い商材を扱う場合、リスティング広告は費用対効果が高いマーケティング手法となり得ます。
リスティング広告に不向きな企業
次にリスティング広告が適していないケースを3つ、ご紹介します。
認知が低く、検索自体されない
先ほどご紹介した「ニーズが明確化しているケース」の裏返しになりますが、リスティング広告は潜在的なニーズへのアプローチは不得手です。
なぜなら、何らかの検索した瞬間のユーザーにとって、直接的な回答を得れることが第一優先になっているからです。
「言われてみて、ハッと気づく」ような潜在的なニーズを引き出す目的であれば、リスティング広告を使っても効果的にリーチすることは難しいです。
オフラインのマーケティング戦略を優先したり、記事や動画などの他の広告手段のほうが適しています。
広範囲に認知度を高めたい
リスティング広告が適さない例の2つ目は、「広範囲の層の認知度を高めたい」場合です。
リスティング広告は、特定の検索キーワードに基づき、成約が期待できる見込み客にダイレクトにアプローチすることに長けていますが、多様な層に広くリーチすることには不向きです。
たとえば、「東京都に住む50代の男性」の間で認知度を上げたい場合、リスティング広告ではなく、より広範囲にアピールできるディスプレイ広告の方が効果的です。
特に10代から20代の若い世代をターゲットとする際には注意が必要です。
この年代のユーザーは、情報を探す際にGoogleなどの検索エンジンよりもSNSを使用する傾向が強まっています。
具体的には、InstagramやTikTok、X(旧Twitter)などのSNSを使って情報を収集する若者が多いです。
そのため、若い層に効果的にリーチしたい場合は、リスティング広告よりもInstagramなどのSNSへの投資の方が、より高い費用対効果を期待できる可能性があります。
客単価が低く、かつリピート性の低いもの
客単価と粗利率を低い商品では、費用回収が難しい場合があります。
たとえば、1個1,000円のドリンクボトルをリスティング広告で宣伝すると、その粗利が低いため、費用対効果は非常に悪くなる可能性が高いです。
1購入あたりの粗利が500円だとしても、利益を出すにはCPA(顧客獲得単価)を500円以内に抑えないといけません。
一方で、サプリメントやプロテインのようにリピート購入率が高い製品の場合、長期的な視点で見れば、リスティング広告の費用対効果は良好になることがあります。
このような製品は、一度の販売ではなく、継続的な収益を生み出すことができるため、リスティング広告の利用に適しています。
リスティング広告の費用
次にリスティング広告にかかる費用について説明します。
自然検索と異なり、リスティング広告には実施のための費用が発生します。この費用は以下の2つの仕組みで決定されます。
クリック課金制
リスティング広告では、ユーザーが広告をクリックした場合のみ料金が発生します。
単に検索結果に表示されるだけでは料金はかかりません。
この課金形態はクリックのたびに費用が発生するのでクリック単価やCPC(Cost Per Click)として知られ、リスティング広告がPPC(Pay Per Click)広告とも呼ばれる理由となります。
入札によるオークション制
広告主は、特定のキーワードに対して広告を出稿したいと考える際、それに対する最大支払額まで支払うという形で「入札」を行います。
他の企業も同じように入札し、その結果に基づいてオークションが行われます。このオークションの結果によって、広告の掲載順位(または掲載しないか)が決定されます。
このように、リスティング広告の費用は、クリックされるかどうかと、どのようにオークションで入札されるかによって決まります。
リスティング広告の必要な費用の考え方は?
リスティング広告を開始する際の予算設定は、多くの人が悩む部分です。
予算の設定方法は主に以下の2つのアプローチがあります。
獲得したい成果から目標を決める
目標とする成果1件あたりにかかった費用の「コンバージョン単価(CPA)」や目標とする成果数の「コンバージョン数」がはっきりしている場合、これらを元に予算を計算できます。
目標CPAは、ビジネスの粗利などを基に逆算して仮に設定するとよいでしょう。
ビジネスモデルや現在のフェーズによっても、この設定方法は変わることがあります。
クリック単価の相場から設定する
リスティング広告を掲載するときは、自社が提供する商品やサービスに関連するキーワードのクリック単価を把握しておくことが重要です。
クリック単価が高いほど、同じクリック数を得るためにはより多くの広告費用が必要です。
Googleのキーワードプランナーを使うと、特定の検索キーワードでのクリック単価を簡単に調べることができます。
たとえば、「web広告」で検索した場合、月間に5,400回ほど検索されていて、あくまで目安として、平均的なクリック単価が約400円~1,200円で推移していることが確認できます。
そのため100回クリックしてもらいたいときは4万円~12万円程の広告費用が掛かることになります。
リスティング広告の一般的な予算
成果を得るための「必要な予算」は、企業の規模によって異なります。
一般に中小企業では、月に5~30万円程度の予算でリスティング広告の運用を始め、成果が見え始めたら予算を増やすことが多いです。
一方で、大企業の場合は、月に数百万円~数千万円というより大きな予算を投じることが珍しくありません。
具体的な予算設定は、それぞれの企業の規模や目的に応じて異なります。自社の状況を考慮し、適切な予算を設定することが重要です。
掲載順位が決まる仕組み
特に人気の高い検索キーワードでは多くの広告掲載希望があります。
そんななか、検索結果の掲載順位はおもに「入札価格」と「広告の品質」によって決まります。
- 入札価格
高い金額を入札すると広告の掲載順位が上がり、検索結果の上部に表示されやすくなります。 - 広告の品質
ただし、単に高い金額での入札では不十分です。
低品質な広告が上位に来ないように、「広告の品質」も重要な評価基準です。品質はクリック率、検索語句との関連性、リンク先ページなどで決定します。
これらの要素を組み合わせて、各広告に「広告ランク(Yahoo!の場合は「オークションランク」)」という値が割り当てられます。広告ランクが高いほど、検索結果の上位に表示される可能性が高くなります。
▼広告ランクの算出方法
入札金額 × 品質スコア = 広告ランク
「品質スコア」はGoogleが広告の品質を1から10のスコアで評価するもので、検索クエリや広告文やランディングページの品質から一貫した関連性、推定クリック率(推定CTR)など様々な要素が考慮されます(高いほど良い)。
結果として、高い入札単価を設定し、品質スコアの高い広告(魅力的な広告文でクリック率の高い)を提供するほど、見られやすいので検索結果での上位表示される可能性が高まるという合理的な仕組みになっています。
リスティングを始めるうえで押さえておきたい用語集
リスティング広告の運用を始める担当者のために、基本的な用語をまとめていますので、運用の際の参考としてご利用ください。
用語 | 内容 |
---|---|
検索クエリ | 検索する際に、入力する語句やフレーズのこと |
インプレッション数/表示回数 | 広告が表示された回数 |
クリック数 | 広告がクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | 表示された回数のうち、実際にクリックした回数 クリック数÷表示回数 |
平均クリック単価(CPC) | 広告のクリック 1 回に対して請求される費用 |
コンバージョン(CV) | 購入や問い合わせやメルマガ登録などのも目標となる成果のことを指す |
コンバージョン数(CV数) | 購入や会員登録などの成果とみなされる行動をとった回数 |
コンバージョン率(CVR) | 広告のクリック数のうち何件がコンバージョンしたかの割合のこと コンバージョン数÷クリック数 |
コンバージョン単価(CPA) | コンバージョン(成果)1件あたり獲得するのにかかった平均単価 広告費用÷コンバージョン数 |
キャンペーン | 広告を管理するための単位のこと。キャンペーンの中には、複数の広告グループが含まれ、予算や配信地域の設定ができる |
広告グループ | キャンペーンの下に位置する広告の管理単位。各広告グループでは、キーワードや広告文の管理を行うことが可能です |
ランディングページ(LP) | 広告をクリックした後に遷移するサービス・商品を紹介するウェブページ |
コンバージョンタグ | コンバージョン数を測るために、コンバージョンが発生するページに設定するコードのこと |
ROAS | Return On Advertising Spendの略語で広告費に対してどれだけの売上が得られたかを計算する指標 広告からの売上÷広告費×100(%) |
リスティング広告への配信の始め方
リスティング広告の配信するやり方と開始手順について説明します。ここではGoogle広告を例に挙げて解説しますが、Yahoo!検索広告においても基本的な手順は同じです。
ステップ1:広告アカウントを開設
「Googleアカウント」をお持ちの方は、『Google 広告』にアクセスして、「今すぐ開始」をクリックします。
ご自身のビジネス名と、広告がクリックされた際に表示されるページのURLを入力し、「次へ」をクリックして進んでください。
Google広告にリンクするアカウントを追加します。後で追加することも可能なので、今すぐに追加しなくても「スキップ」を選択して問題ありません。
ステップ2:キャンペーンを新規作成
次にリスティング広告を運用する「キャンペーン目標」を選択します。
▼キャンペーン目標
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトのトラフィック
- 商品やブランドの比較検討
- ブランド認知度とリーチ
- アプリのプロモーション
- 来店数と店舗売上の増加
- 目標を指定せずにキャンペーンを作成する
目標に応じて、推奨される広告のタイプ(検索、ディスプレイ、動画など)が自動で絞り込れるので、適切なものを選択してください。
今回は「目標を指定せずにキャンペーンを作成する」で、進んでいきましょう。
そして、検索結果画面に表示されるテキスト広告である「検索」を選択します。
まずはリスティング広告に慣れていき、配信範囲を拡げていく際に他の選択肢を検討するのがおすすめです。
キャンペーンで目標とする成果(コンバージョン)を下記より選択してください。
- ウェブサイトへのアクセス
- 電話件数
- アプリのダウンロード
今回は「ウェブサイトへのアクセス」を選択し、次へ進みます。
ステップ3:配信ターゲット設定
キャンペーン設定では、ディスプレイ広告を配信しない場合、デフォルトでONになっている「Google ディスプレイネットワークを含める」のチェックを外しましょう。
配信地域の設定では日本全土に特定する場合は「日本」にチェックしましょう。
特定地域向けのビジネスを展開している場合、国や地域、都市を絞る場合には「別の地域を入力する」をチェックし、対象とする地域や除外する地域を選択しましょう。
リスティング広告で最も重要なのは、自社の商品やサービスに関心を持ちそうなユーザーに広告を配信することです。
関連性の低いユーザーへの広告配信は、費用対効果を悪化させる原因になります。
そのため、ターゲットとなるユーザーの居住地域や言語などを指定し、広告の配信範囲を絞ることが重要です。
ステップ4:キーワードと広告文を設定
あなたの広告が表示されるべき検索クエリを決定します。
これらは、あなたの商品やサービスに関連しているものを選ぶことが重要です。
ユーザーが製品やサービスを検索する際に使いそうな言葉やフレーズを考慮して選びましょう。
Google広告ではウェブページを読み込ませることで類似する商品やサービスで既に効果を上げているキーワード候補を抽出することができます。
まずは提案候補を元にして、そのほかに必要なキーワードを追加で入力していきましょう。
ここで重要なことはマッチタイプとよばれる、検索キーワードに対して広告掲載の範囲を決定するための設定が行えます。マッチタイプは「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の全部で3種類あります。
マッチタイプの種類 | 設定方法 | 広告の表示対象 |
---|---|---|
部分一致 | 記号なし 例:シューズ |
指定したキーワードが含まれる検索に対して、広告が表示
その意味や関連性が近い検索語句にも反応する 「靴」、「女性用シューズ」など |
フレーズ一致 | 二重引用符で囲む 例:”運動靴” |
指定したフレーズを含んでいる場合に、広告が表示
キーワードをより厳密に制御しつつ、ある程度の柔軟性を持たせることができる 「人気 運動靴」「運動靴 おすすめ」など |
完全一致 | 角かっこで囲む 例:[男性用シューズ] |
指定したキーワードと完全に一致すると広告が表示
非常にターゲット指向が高く、リーチは限定的になりがち 「男性用シューズ」のみ |
参考:Google 広告 ヘルプ「キーワードのマッチタイプについて」
「完全一致」のみなどの厳密なマッチタイプを設定すると、ニーズに合致するユーザーに広告が表示されやすくなりますが、対象ユーザーが限られることもあります。
逆に、マッチタイプを緩めに設定すると、関心が低いユーザーにも広告が表示される可能性があります。そのため、このバランスを適切に取ることが重要です。
広告の見出し、説明文、URLを設定する際には、右側のプレビュー画面で確認しながら進めます。
ユーザーがどのような情報を求めて検索しているかをしっかりと理解し、それに基づいて彼らの関心を引く内容の広告見出しと説明文を考えることが重要です。
広告文の入力が完了したら、次に1日あたりの予算を設定しましょう。
支払い情報を入力し、広告の内容を設定したら、確認画面よりGoogle広告の審査プロセスに進みます。
審査が完了すれば、広告の配信が始まります。審査に要する時間は通常、最短で約5分から、ほとんどの場合、1 営業日以内に完了することが一般的です。
リスティング広告の運用方法
リスティング広告は、単に配信するだけで終わりではありません。
配信した結果を分析し、より良い成果を得るために改善を続けることが大切です。成功するか否かは、この運用方法に大きく依存します。
リスティング広告の運用方法には主に2つあります。
- 学びながら自社運用
- 広告代理店に依頼する
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、詳しく解説していきます。
学びながら自社運用
リスティング広告に関する知識は、書籍やオンライン講座を通じて低コストで学ぶことが可能です。さらに、配信結果を自動でレポート化などの支援ツールも利用できます。
最近では、GoogleやYahoo!におけるリスティング広告運用は自動化が主流となり、過去のようにキーワードごとに細かく入札単価を調整することは少なくなっています。
そのため、少ない金額であれば運用の手間もそれほど大きくはないので、まずは自分で運用を始めてみましょう。
しかし、高い成果を得るためには適切なノウハウが必要で、運用が不十分だと機会損失を生むリスクもあるので、出稿金額によっては、広告代理店に運用を依頼し手数料を支払う方が、結果的に費用対効果が高くなる場合もあります。
また将来的に広告代理店と依頼する際にも知識があるとスムーズなコミュニケーションが取りやすくなるのでおすすめします。
広告代理店に依頼する
広告代理店に広告運用を依頼する方法では、専門家に全てを任せることで、自社のリソースを節約しつつ効率的に成果を上げることができるというメリットがあります。
デメリットとしては、運用手数料がかかることです。
手数料は通常、広告費の約20%程度が相場とされています。
また、最低出稿金額を設定している広告代理店も存在します。これは、広告の出稿金額が低いと、代理店が受け取る手数料が工数に見合わないためです。
以上の点に留意しながら、「すぐに確実な成果がほしい」という場合には、広告代理店に相談してみましょう。
効果を出すためのポイント
リスティング広告を運用する際には、以下の重要なポイントを解説します。
- 目的を明確化
- 競合他社を分析
- 競合の少ないキーワードを見つける
- 効果の出やすいキーワードを優先
- 出稿するエリアを絞る
- 魅力的な広告文を作成
- ランディングページを改善
目的を明確化
リスティング広告の運用を開始する前に、まずはその目的をはっきりとさせましょう。
目的が明確であれば、ターゲットとなるペルソナや選ぶべきキーワード、そしてターゲティングの設定が明確になります。
長期にわたるリスティング広告の運用では、当初の目的から運用が逸脱する可能性があります。
しかし、最初に明確な目標を設定しておくことで、一貫性のある運用が可能となり、結果的に成果を得やすくなります。
競合他社を分析
リスティング広告における競合他社の出稿状況の分析は、自社の強みと弱みを理解することに繋がり、より効果的なコンバージョン率向上のために重要です。
競合の広告内容を分析して、自社のユニークな強みを特定しましょう。
競合分析のステップは以下のように進めます。
- 出稿したいキーワードの選定し、検索をかける
- 競合他社の広告文やランディングページを分析する
- 自社と競合他社との差別化ポイントを把握し、情報をまとめていきましょう
競合調査は自社の強みや弱みを発見するために重要であり、ECサイトやSNSの口コミなども貴重な情報源です。得られた情報をもとに、自社の強みは積極的に打ち出し、弱みは改善策を講じましょう
競合分析の後に広告やランディングページ(LP)の作成を行うことを推奨します。
競合の少ないキーワードを見つける
リスティング広告はオークション方式を採用しているため、人気のあるキーワードは高騰する傾向があります。
競争が少ないため、特に予算が限られた中小企業にとっては、競合他社が出稿していない先を見つけることも大切です。
Google広告には「キーワードプランナー」という便利なツールがあります。
「新しいキーワードを見つける」からビジネスに関連する商品やサービスを入力することで候補を見つけることが可能です。
たとえば「Web広告」で入力すると、269件のキーワードが提示され、検索量や競争の度合いもわかります。
広告を効果的に出稿するためには、「ユーザーがどのような意図で検索するか」を考え、競争が少ないキーワードを選んでみましょう。
効果の出やすいキーワードを優先
リスティング広告の大きな強みは、購入意欲の高いユーザーに効果的にアプローチできることです。
この利点を最大限に活かすために、コンバージョン(CV)につながりやすいキーワードを選ぶことが重要です。
特に、自社名や商品名などの指名キーワードや、「購入」や「修理」のような具体的な行動を伴う単語は、コンバージョンに結びつきやすいです。
またクリック率が低いキーワードや、多くのクリックを獲得しているにもかかわらずコンバージョン率が非常に低い場合は、除外設定をしましょう。
ただし、除外キーワード設定は、正しく行えばパフォーマンスを改善する効果がありますが、誤って設定すると大きな機会損失につながることがあります。
一度で大量に除外するのではなく、管理画面でキーワード毎の成果を確認しながら、少しずつ除外設定を行っていきましょう。
出稿するエリアを絞る
リスティング広告においては、広告の配信エリアを指定することが可能です。
効果を最大化するためには、不必要に多くのエリアに広告を配信するのではなく、出稿エリアをできるだけ絞ることが重要です。
特に、限られた予算の中で成約率が高い地域に焦点を当てて出稿することが効果的となります。
魅力的な広告文を作成
広告文の改善は非常に重要で「クリック率(CTR)」にダイレクトに影響を及ぼします。
興味を引くような魅力的な広告文を作ることで、提供する商品やサービスへの購入意欲を高める効果も持たせることが重要です。
また「キーワード」「広告文」「ランディングページ(LP)」の間につながりや一貫性があるかを確認しましょう。
- クリックしたくなるような広告文にする
- 広告にキーワードを含める
- ランディングページとの関連性を高める
ランディングページを改善
クリックした後のリンク先のランディングページは非常に重要です。
いくら広告文が魅力的で「クリック率」が高くても、ランディングページの品質が悪いとコンバーションには至りません。
そのため、ユーザーにとって価値があるか、見やすい構成になっているかを見直していきましょう。
特に、ファーストビュー(最初に目にする部分)に広告文の内容が含まれていない場合は離脱されやすくなるので注意しましょう。
リスティング広告を配信する際の注意点
リスティング広告を実践する際の重要な注意点を3つ紹介します。
広告の審査基準を理解
広告が表示されるためには、審査を通過する必要があります。
審査基準を事前に理解し、特によく審査で不承認となるポイントを把握しておくことが重要です。
▽広告の不承認例
- 広告の最上級表現:
「世界一」「シェアNo.1」などエビデンスがない過度な誇大表現は避けましょう。 - 薬機法違反:
医薬品に関連する法的規制に違反する内容は不承認の対象となります。 - リンク先ページによる不承認:
リンク先のページが不適切な場合も不承認となります。 - 記号、句読点の利用:
不適切な記号や句読点の使用は避けましょう。
これらのポイントを参考にして、広告内容を適切に調整することが、審査をスムーズに通過するための鍵です。
広告媒体ごとに審査基準は異なりますので、以下で確認しておこう。
商標登録されているワードは注意しよう
2つ目の注意点は、商標登録されている単語の使用に関わるリスクです。
競合他社の商品やサービス名を広告文に含めると、商標権侵害とみなされるリスクがあります。
また商標登録された単語を広告キーワードとして設定すること自体は法的に問題ない場合もありますが、商標所有者からの広告取り下げ要請を受けることも。
商標登録されている単語をリスティング広告で利用する場合は、顧問弁護士や法律専門家に相談し、慎重に進めることをお勧めします。
広告代理店に任せきりにしない
広告代理店は通常、多数のクライアントを抱えており、一人の担当者が数十社の広告運用を行うのは珍しいことではありません。
そのため出稿金額が多いクライアントが優先されることもあり、代理店に任せているからといって安心してはいけません。
できれば提供されるレポート(配信結果)を定期的に確認し、今後のプランや改善策をすり合わせしていきましょう。
リスティング広告運用の成功事例
リスティング広告運用において、ただ配信するだけではなく、継続的な改善・見直しが重要となります。
ここでは、効果的な運用方法を具体的に理解していただくために、3つの成功事例を紹介します。
事例1. 大手B2Cサービス
全国に店舗展開している大手BtoC企業の事例です。
1か月目は顕在層獲得に向けて、エリア選定およびキーワードを設定して配信しています。
2ヶ月目には1か月目で得たデータからユーザーの行動を分析し、ランディングページ改善提案と修正を行っています。
2ヶ月目後半からエリア拡大し、獲得に繋がらない不要なキーワードを精査しながら、関連ワードの追加を行うことで、3か月目に問合せ数150件超、問合せ単価5,000円程度に抑えての配信の実現ができました。
事例2. 幼児教育サービス
とある幼児教育関連企業での事例です。
これまで外注せずに社内で広告運用を行っていましたが、さらなる新規顧客の集客に力を入れる必要があり、ご依頼いただくことになりました。
1か月目には新規顧客獲得を目指すため、親和性が高いと考えられるキーワードを設定して配信スタートしています。
2か月目はさらに新規顧客の層を増やすため、キーワードを広げて配信し、2ヶ月間のデータを基にキーワードの整理とLPの改善を行ったことで、3か月目には成約単価3分の1以下に抑え、成約率1%程度まで上昇し、コンバージョンの改善を実現しています。
事例3. 着物レンタルサービス
着物レンタルサービスを展開している会社の事例です。
4月に検索語句に「夏」を含むものが増えてくることもあり、夏を強調した広告テキストを作成
5月にウェブサイトにて「夏着物キャンペーン」開催したこともあり、リンク先を該当ページへ変更し、8月に表示回数が減ってきたため、夏用の広告配信を停止しています。
上記のように状況に応じて、テキストや説明文を調整し、リンク先変更を行ったことにより、成約単価を抑えて、成約数を増やすことができました。
季節ごとの特徴を掴むことで費用を抑えながら、期間限定での出稿や変更をしていくことも可能です。
まとめ
リスティング広告は、商品やサービスに興味を持つ顕在層に的確にアプローチできるため、費用対効果が高く、もっとも用いられているWebマーケティングの手段です。
ただし、これらのメリットを最大限に活かすには、最適な運用が不可欠です。
効果的な運用を実現するためには、社内での適切な体制の構築や、必要に応じて代理店のサポートを活用するなど、成功へ向けた運用体制を整えることが重要です。
本記事で紹介したリスティング広告の仕組みや運用方法などを参考に、自社のマーケティング戦略にぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。
WRITER
ライターA
ライターAの記事一覧Google広告、Yahoo!広告、SNS広告(Instagram、X(旧 Twitter)、Tiktok)等で広告運用を担当。
クリック単価削減とコンバージョン率向上を実現する広告戦略を提供。データ分析に基づき、迅速な改善策を提案し、成果を最大化しています。
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