• 2025.8.22
  • Web広告

リスティング広告の予算の相場と費用の最適化について徹底解説!

リスティング広告の予算の相場と費用の最適化について徹底解説!

ネット広告の中でも、即効性と費用対効果の高さから多くの企業が導入しているリスティング広告ですが、まだ導入したことがなく、検討しているといった方も少なくありません。

これからリスティング広告を導入しようと考えている多くの方は
「リスティング広告は実際にどれくらいの予算が必要なのか?」
「リスティング広告の予算はどうやって決めるべきか?」
「代理店に依頼する場合の費用は?」
といった悩みを抱えている方が多い印象です。

また、すでにリスティング広告を運用している方でも、「リスティングの費用対効果を最大化するに予算はどうしたら良いのか?」「どのタイミングで予算を増やすべきか?」「代理店に依頼している費用は妥当なのか?」といった悩みをお持ちの方も多く、実際に予算に関するご相談を受けることが多くあります。

そこで本記事では、リスティング広告の予算の相場や課金方式、予算設計のポイント、運用の最適化手法まで、初めての方から現状リスティング広告の予算で悩んでいる方にもわかりやすく解説いたします。

リスティング広告の予算決めから、費用設計・運用まで最適化したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

リスティング広告の課金方式と費用相場

リスティング広告の課金方式

リスティング広告の費用を決める前に、まずはリスティング広告はどのような課金方式で費用が発生するのか運用するための基礎的な知識を押さえておく必要があります。

クリック課金方式

リスティング広告は基本的にクリック課金と呼ばれる課金方式になります。
その名の通り、ユーザーが広告をクリックすると費用が発生する仕組みです。
また、リスティング広告の表示方法はオークション制となっています。そのため、1クリックごとの費用に関しては、買い付けているキーワードの単価や、広告の品質によっても変化が生じます。

一度、広告が表示され、課金が発生し、コンバージョンするまでの一連の動きについて確認してみましょう。

  1. ユーザーが検索を行う:掲載に関するオークションが行われる
  2. 検索結果と共に広告が掲載:掲載順位はオークションの結果
  3. ユーザーが広告をクリック※費用が発生
  4. LPへ遷移
  5. 購入(コンバージョン)

上記のように、リスティング広告ではユーザーが検索をするたびにオークションが瞬時に開かれ、競り勝った企業の広告が上から順に掲載されます。掲載された広告がクリックされると、都度課金となります。

そのため、クリック課金での予算シミュレーションに向けては、業界でよく検索されるキーワードを元に、そのキーワードのクリック率や平均クリック単価をある程度知る必要があります。
リスティング広告での平均クリック率や平均クリック単価を知ることで、自社のリスティング広告の予算を決定できるだけでなく、競合がどの程度リスティング広告に費用をかけて運用しているか予測が可能になります。
自社のリスティング広告を出そうと考えているキーワードの平均のクリック単価については、キーワードプランナーなどの予測機能を用いることで知ることが可能です。その際に合わせて競合性なども確認することができるので、参考にするとより詳細な運用の戦略を立てることが可能となります。

以上がクリック課金の説明となります。

リスティング広告の費用相場(月額目安・業種別の違い)

リスティング広告の費用は買い付けるキーワードなど運用方針にも寄りますが、事業規模や競合性も関係してきます。そこでここからは、事業規模ごとのリスティング広告の予算規模や運用方法について解説していきます。

  • 小規模事業者(10万~50万円)

    小規模事業者やスタートアップ企業では、まず月10万円程度からリスティング広告を試験的に運用するのが一般的です。

    リスティング広告は少額から運用を始めることはできますが、月10万円のリスティング広告の配信は現実として非常に少額な予算となり、限られた予算内での効率的な運用が求められます。
    そのためにはリスティング広告の効果を定常的に測定し、無駄なクリックを抑えるためにキーワードやターゲットを絞り込むといった運用が重要です。

  • 中堅企業(50万~200万円)

    中堅企業のリスティング広告では、運用においてより幅広いキーワードやターゲット層にリーチするために、月50万円以上の予算を確保することが一般的です。ただし、中堅企業となると競合する企業の幅も広く、リスティング広告に集中的に予算をかけている企業も一定数いることから、100万円以下の広告は小規模な運用になってしまうことも多くあります。

    しかしながら、月50万円ほどリスティング広告の費用に充てられるのであれば、ある程度の量の広告を出すことができるので、複数のキャンペーンを同時に運用することが可能です。

    業種や商品特性に応じてキャンペーンを作成し、最適化を行うことでより集客力を高められます。

  • 大手・競争激化業界(200万円~)

    金融、不動産、美容医療などクリック単価が高騰しやすい業界では、リスティング広告に月1000万円を超える費用をかけることも多く、月間で1億近い費用を活用している企業も珍しくはありません。

    大規模な広告予算を投入することで、上位表示を狙い、ブランド認知やリード獲得を加速できますが、その分広告文やランディングページ(LP)に関しても高い質・量が求められます。

    この規模になってくると、リスティング広告の自社運用は難しく基本的には代理店任せになってきます。というのも、この予算感でリスティングの配信を行うと、数値の動きが時間単位に変わるため、社内ではリソースを割けず、手数料を払ったとしても代理店に依頼するのが最も効率が良くなるためです。

以上がおおよその事業規模とリスティング広告の費用感の目安になります。
続いて業界別の平均クリック単価と広告費の相場について解説します。

業界別の費用相場・平均クリック単価のデータ
業種 平均クリック単価(CPC) 広告費 平均CVR 備考
EC・通販 50円~200円 10万円~100万円 1.5~3% 商品点数・単価で変動
不動産 200円~1,000円 30万円~1000万円 1~2% 競争激化、CPA高め
金融・保険 300円~2,000円 50万円~1000万円 0.8~1.5% 高単価、競争激化
美容・医療 200円~1,500円 30万円~1000万円 2~5% 地域差あり
BtoBサービス 100円~800円 20万円~500万円 0.5~1.2% CVR低め、CPA高め
人材・求人 100円~700円 20万円~1000万円 1~2% 季節変動あり
教育・スクール 80円~500円 10万円~50万円 1.5~3% 地域・季節で変動

上記の表はあくまで、年間を通したリスティング広告の費用の平均的なものを示しています。もちろん表とは違い、広告費用が高騰しやすいパターンなどは一定存在しているためあくまで参考値としてご参照ください。

リスティング広告の費用が高騰しやすいパターンで代表的なものとしては、季節キャンペーンや新商品リリース時が挙げられます。 季節性のあるキャンペーンの場合は、競合が一斉にリスティング広告の入札を強化するため、CPCが急騰しやすい傾向にあります。特に年末商戦や新学期シーズンは要注意です。 この期間のリスティングはイレギュラーな動きをすることが多く、イレギュラーな数値は媒体側も機械学習を変えてしまうことがあります。その点でもこの時期は注意が必要となります。

ブランドキーワードや指名検索なども近年変動がおきやすい傾向にあります。 指名ワードは通常CPCが低い傾向にあるものの、競合他社が自社名でリスティング広告を出すケースが増加しています。 以前より紳士協定という形で、リスティング広告において競合同士が互いの社名やブランド名などを除外しあうことで、CPC高騰を避けていましたが、近年では紳士協定に賛同しない企業も一定数増えており、ブランド防衛のための指名広告も必要となってきています。

最低出稿金額の有無と設定方法

  • Google広告・Yahoo!広告の最低出稿金額

    リスティング広告に関して、基本的にどちらの媒体でも最低出稿金額の制限はなく、1日100円程度から運用が可能です。小規模事業者やテスト運用にも柔軟に対応できることからリスティング広告は導入がしやすいとされています。

    小規模事業者で自社でリスティング広告の運用を行う場合、まずは1日数千円で広告を開始してみて、狙っているキーワードの中心となるものたちの平均CPCの動きをみてから広告費を増額させていくなどの戦略を取ることも可能です。そうすることで、事前に予測していた予算との乖離を確認することができます。

  • 代理店で広告を出す場合の最低出稿金額

    代理店に配信の代行を依頼する場合、リスティング広告の運用工数や手数料の採算を考慮し、最低出稿金額を30万円程度に設定している代理店が多い印象があります。 ただし、近年では少額からの配信に特化した代理店も出てきており、30万円以下で配信を代行してくれる代理店もあります。

    代理店にリスティング広告の出稿を依頼する場合、手数料制となることが多く、その費用は配信量にもよってきますが、一般的に20%前後となります。 仮に、配信における出稿金額を1日100円とした場合、広告費は月間3000円となるため手数料20%の場合、代理店が受け取れるのは600円となり運用代行に対してコストが見合わなくなります。 そのため、多くの代理店では独自で最低出稿金額を設定していることが多いです。 代理店の最低出稿金額は、その代理店の規模や配信の量にもよって変わりますが多くの代理店が30万円としている傾向にあります。大手になると最低出稿金額も高額になり、代理店大手のサイバーエージェントでは、広告費の最低出稿金額は月額500万円からとされています。

リスティング広告の予算の決め方

予算設計の重要性

リスティング広告の費用対効果を最大化するには、目標に基づいた明確な予算設計が不可欠です。 「前年並み」や「ネットで書いてあったからとりあえず月10万円」といった曖昧な予算設定では、十分な成果は得られません。 目標CPA(顧客獲得単価)や目標コンバージョン数、売上目標やLTV(顧客生涯価値)などの指標から逆算し、根拠ある予算を設定することが重要となります。 手間と時間がかかりますが、明確な根拠を持って戦略を立てましょう。

    【よくある間違った予算設計】

  • 経営層から「前年と同じ予算で」と指示が降りてくる
  • 競合の動向や市場環境の変化を無視して、固定的に予算を組む
  • とにかく目標CPAを低く設定する

上記のような予算の決定方法では、実際のKPIや事業計画とズレが生じることがあったり、無理な目標を設定することで配信ボリュームが激減し、CVが目標に届かないことがあります。

特に目標CPAは自社の顧客単価やLTVを基に組むことが多いですが、広告は競合とのオークションになるため、目標CPA内でもどう頑張ってもCVを取ることができないといったことが発生します。このような場合は、業界の適正なCPAを理解し、LTVを伸ばすための施策を検討するなど根本から戦略の見直しが必要になる場合があります。

予算設計の段階で方向性を間違ってしまうと、その後の運用全てに影響が出てしまいます。後から修正することは可能ですが、その都度媒体の学習が入ってしまうなど無駄な時間を使ってしまいます。

そのため改めて以下のチェックリストを参考にして、入念に予算設計を行いましょう。

    【予算設計する際のチェックリスト】

  • 目標CPAとCVは明確か?
  • 事業計画や売上目標と連動しているか?
  • 市場動向や競合状況を目標CPAに反映しているか?
  • 初月の場合、テスト予算とする場合、その予算で十分なデータが取れるか?

上記について考慮しつつ、ここからは実際の予算の決定方法に関して3つの方法について解説していきます。

目標CPA・CVからの逆算による予算の決定

比較的一般的な予算の決定方法となります。
多くの事業者は目標CPAと目標CVから逆算して広告費を算出しています。

用語解説

  • CPA(Cost Per Acquisition)・・・1件のコンバージョン(成果)を獲得するために必要な広告費用です。
  • CV・・・コンバージョン数のことで広告経由での購入や問い合わせなど、成果とみなすアクションの件数です。
【ECサイトなどの場合】
  • 顧客単価:¥10,000
  • 目標CPA:¥5,000
  • 月間目標CV:60件
  • 広告予算:¥5,000 × 60件 = ¥300,000/月間

このように、目標CPAとCVから予算を逆算するのが基本です。

【実際の運用時の注意点】

ポイント:CPAは買い付けているキーワードの競合の入札状況や市場動向で変動するため、設定されたCPAが適正値となっているか月次で見直しを行うと良いでしょう。

よくある失敗例:CPAを低く設定しすぎたことで、上限入札単価が低く設定されてしまい、オークションで競合に負けてしまい、広告の配信量が激減。広告が配信されないため、必要なCVを確保できずKPI未達となるケースが多くあります。

【実践ポイント】
  • 目標CPAは利益率やLTVをもとに現実的な値を設定
  • CVは売上目標や事業計画、過去の月間の売り上げ数から月毎に逆算
  • 必要に応じて月次・週次で見直し

クリック単価・クリック数からの算出方法

テクニカルな方法ですが、買い付けている・買い付ける予定のキーワードのクリック単価やクリック数から逆算する方法となります。

  • クリック単価(CPC)・・・リスティング広告が1回クリックされるごとに発生する費用です。
  • クリック数・・・クリックされた数で、必要なCVと想定CVR(コンバージョン率)から必要なクリック数を逆算することできます。
    【美容室などの集客を目的とした広告の場合】
  • 目標CV:60件/月間
  • 業界平均のCVR:平均2%
  • 60件のCVに必要なクリック数:60 ÷ 0.02 = 3,000クリック
  • 業界の平均CPC:¥100
  • 広告予算:¥100 × 3,000クリック = ¥300,000/月間

ちなみにクリックから逆算する場合、業界の平均クリック率を算出すると、クリック数を得るために必要な表示回数(インプレッション数)を逆算することも可能です。

【実際の運用時の注意点】

CPCはキーワードや業界によって大きく変動しますが、単体でも大きく変動します。例えば、ビッグワードと呼ばれるものは、それだけ人に検索されるものになるため、CPCは高額になる傾向があります。 反対にニッチなワードの場合、競合性が低いことからCPCも低くなりますが、十分な表示回数を担保できず、結果として獲得に必要なクリック数を獲得できないといったことも起こります。 クリック数が十分に確保できない場合は、キーワードの追加や予算増額を検討する必要があります。

顧客単位での売上目標やLTVからの予算設定

近年注目されているのが、実際の売上目標から広告費を逆算する方法です。 これは、サブスクリプションなどの商法が盛んになり、企業との顧客の継続的な接点が重要になったことが大きく影響しているのではないかと考えられます。 多くの企業がLTVを重視する傾向にあり、それに伴って広告費に対する考え方も変わってきています。

    LTVから逆算する場合


    【化粧品関連企業】
  • 目標件数 :500件
  • 顧客単価 :¥6,000
  • 1CVあたりの平均LTV :6回 = ¥36,000
  • CPA上限 :LTVの50%(¥18,000)
  • 広告予算:¥18,000 × 500件 = ¥9,000,000/月間

※ここでは損益分岐点などは考えずに算出しています。

上記の内容に対して、LTVを加味せず、売上を目標CPAと定めた場合、広告予算は以下となります。

  • CPA上限:¥6,000
  • 広告予算:¥3,000,000

このように単純な顧客単価をベースに広告費を算出した場合、目標CPAは¥6,000とかなり低い設定になります。

競合がLTVを加味して広告を出稿していた場合、上限CPA¥6,000では入札が単純に1/3となってしまい、ほとんど広告が表示されない現象が発生してしまいます。 先に説明した通り、無理な目標設定は配信ボリュームの激減に繋がり、結果として獲得数が目標に届かない結果に繋がります。

しかし、顧客単価を元にCPAを決定し広告予算を算出することに疑問を感じる人は少なく、知らぬ間に無理な目標設定になっていることに気が付かないため、広告の効果が出ないことを運用の問題にしてしまい、結果広告の効果が改善しないといった事例も多くあります。

【運用時のポイントと注意点】

LTVはリピート率やアップセル率で変動するため、定期的な見直しが必要となります。逆を返せば、LTVを上げることで許容CPAも変わっていき広告にかけられる費用も増加するため、新たな見込み顧客へのアプローチなども可能になります。 しかしながら、LTVを過大評価しすぎると、実際のLTVが想定よりも低くなった場合、短期的な資金繰りが悪化するリスクが発生しますので、現実的な数値や直近の数値を参考に算出しましょう。

予算設定時の注意点

初動の予算設定について

広告の運用開始の初動は媒体学習の期間として、媒体学習に必要なCV※1が確保できる予算を設定しましょう。媒体学習に必要な予算は、以下のように逆算で算出しましょう。

※1:パフォーマンスを正確に評価するには、1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。

(出典:Google広告ヘルプセンター

必要なクリック数 =媒体学習に必要なCV ÷ 業回の平均CVR

媒体学習に必要な予算=必要なクリック数 × 業界の平均CPC

ただし、かけられる広告費に対して、明らかに媒体学習用の費用が高くなってしまった場合、媒体学習用のCV地点を変更するなど運用戦略によって初動で必要な予算を低く抑える事が可能です。

反対に、ある程度予算が決まっている場合、その予算を元に媒体学習がクリアできそうなマイクロコンバージョンを設定する事も運用する上で選択の1つになります。この辺りに関しては、どこに比重を置くかにより考えて調整すると良い運用ができるでしょう。

  • 予算増額は段階的に

    初動の学習がうまくいったからといって、いきなり大幅に増額すると媒体に再度学習が入ってしまい、運用効率が下がることがあります。そのため、1度の増額幅を10〜20%の範囲に抑えておくか、月次で予算の変更をして運用することをお勧めします。

  • 撤退ラインを明確に設定しておく

    目標としていたCPAを多少上回っているけど、一応コンバージョンは発生しているから、中々広告を止めることを決断できない。といった状況に陥ることも少なくありません。 そういった場合に備えて、事前にこのラインを超えたら広告は停止するといった運用方針を明確にルールとして決めることをお勧めします。 季節的に取れないシーズンもあったりするので、そこに備えて一時停止を行うのも運用戦略の1つです。 無理な広告運用を続けて結果的に利益を圧迫してしまわないように、自社内でのルール決めは重要となります。

  • 季節変動やキャンペーン時期も考慮する

    明確に繁忙期・閑散期がある場合、成果が大きく変動する事があります。例えば、新生活需要などで春には不動産で広告が盛んになり、賃貸関連のキーワードのCPCが高騰する事が起こったりします。 このような場合、CPCは高騰するも獲得も取れる時期のため、運用戦略として一時的に大幅な予算の増額を行うことがあります。予算配分の際にこういった季節のことを考慮すると良いでしょう。

費用対効果を高める運用ポイント

ここまでは予算の設計方法に関して解説してきましたが、ここからは広告予算を無駄に消費しないよう、運用において費用対効果を高めるためのポイントについて解説していきます。 予算設計のパートで何度かお話していますが、費用対効果は時期と競合性によって頻繁に変化が起きるので、具体的な内容はあくまで参考として運用に関する考え方についても参考のポイントとしていただけると良いかと思います。

キーワード選定と除外キーワード設定

キーワード選定の重要性

リスティング広告の運用において最も重要であると考えられるのが、キーワードの選定です。 運用に関するよくあるご質問で、どのようなワードを買い付けたら良いか分からないと言った相談を受けることがあります。 運用する上で必要と考えられるワードは無数にありますし、限られた予算の中でどれに入札をかけたら良いか迷ってしまうことは実際多々あるかと思います。 似通ったものでもCPCが全然違うこともあるため、似ているなら安い方で良いかと考えてしまう方も多くいますが安いからと安易に買い付けるのは危険です。 先にもお伝えしたとおり、キーワードの選定は運用において非常に重要なものだからです。

キーワードの買い付けの重要性に関して、リスティング広告ではなく、オフラインの広告に置き換えて考えてみると分かりやすいです。 リスティング広告の運用におけるキーワードは、検索した人(興味がある人)に対して広告が掲載されます。それは要するに街角の特定の場所に自社の看板を掲示するのと同じ事です。街角に自社の看板などを掲示する際、自社の製品・サービス(看板)に興味を持ってくれそうな人が多く通過する場所であったり、とにかく往来の多い幹線道路沿いへの掲示を検討するかと思います。また、クリック単価はオフラインの看板でいうところの掲載料です。

例えば、渋谷にある若者向けの雑貨を取り扱うお店が自社の看板を街角に掲示するとします。

まず、お店は渋谷にあるので、渋谷駅周辺に掲載するとします。一番人目に触れるであろうスクランブル交差点に掲示するとしましょう。人の往来は圧倒的で、認知の効果は抜群です。しかし、実際に興味を持つ人は少なく、来店に繋がる事はほぼありません。 さらにスクランブル交差点は人気なので掲載費用は非常に高額となります。

そこで、もう少し絞って通りに掲載をしてみましょう。渋谷で有名な通りと言えば、道玄坂やセンター街、竹下通りが挙げられます。人がある程度通過する通りとして、それぞれ類似していますが、そこを通る人の性質は大きく変わります。 センター街や竹下通りは人気のため掲載料金が高く、道玄坂の方は比較的安く抑えられそうだったので、道玄坂に掲示することにしましょう。すると、結果来店者数は増えませんでした。

上記の現象が、似ているキーワードでCPCの安い方を買い付けてしまう例になります。 似ているものだとしても検索をしているユーザーの意図は違うことが多々あります。

具体的なキーワードを参考にしてみたいと思います。

例えば、「〇〇の買い方」と「〇〇を買いたい」では意味は似ていますが、ユーザーの確度が違う場合があります。※もちろん違いがない場合もあります。

「買い方」は買う方法を単純に知りたいという需要も含まれることがあり、購入に対する確度が低い場合があります。この様なワードは運用者の間ではKNOW系キーワードとも呼ばれます。

反対に「買いたい」は今すぐに行動したいという希望が含まれるため、購入確度は高くなります。

実際に「車 買い方」と「車 買いたい」で比較してみましょう。両者に関して、キーワードプランナーで検索した際の結果が下図となります。

キーワード 月間平均検索ボリューム 上部に掲載された広告の入札単価(高額帯) 上部に掲載された広告の入札単価(低額帯)
車 買いたい 1,900 ¥612 ¥124
車 買い方 2,900 ¥222 ¥44

実際に、両者の間にはCPCに大きな差があります。一概には言えないですが、この差が両者のキーワードのコンバージョン確度の差になってきます。 コンバージョンの確度が高くなりそうな「買いたい」のキーワードの方がCPCは高額になっているのが分かります。

この様な場合、実際に車を買っている人で車の買い方を知らないという方は少ないかと思います。車を買おうと思っている人で、「車の買い方」について検索をしている人は、おおかた初めて車を買う人であり、購入までの期間が長かったり、ローンの通過の問題など様々なリスクが考えられます。この様なキーワードを買い付けた場合、CVRが低下する恐れもあります。

そのため、単価が高くとも「車を買いたい」と考えているユーザーに対して広告を掲載する方が成約率は高くなる可能性があるので、「車 買いたい」に入札をかけるのが運用する上ではベターであると言えます。

今回は単価が高い方が効果がありそうという前提で選びましたが、必ずしも単価が高いものが効果があるわけではないので、実際に運用する際は注意しましょう。

この様に適切なキーワード選定は、リスティング広告の運用に関して費用対効果を大きく左右することがあります。ターゲットユーザーの検索意図を正確に把握し、商品・サービスの強みや特徴を反映したキーワードを選ぶような運用を心がけましょう。

先ほど紹介したGoogleキーワードプランナーを活用することで、実際の検索ボリュームや競合性、クリック単価の目安を把握することが可能です。リスティング広告を運用する際はキーワードプランナーなどのツールを上手に活用しましょう。

マッチタイプ・ターゲティングの最適化

マッチタイプの使い分け

リスティング広告でキーワードを買い付ける際に、そのキーワードの拡張性となるマッチタイプの変更が可能です。

マッチタイプは以下の3つがあります。

(出典:Google広告ヘルプセンター

上記画像はGoogle広告の公式が掲載しているものです。

  • インテントマッチ

    Googleが推奨しているマッチタイプになります。買い付けたワードと検索意図がマッチしているクエリに対して自動的に広告が配信されるため、自社でも気が付かなかった見込み顧客に対して広告配信が可能です。しかし、拡張性が高いため、結果として獲得ができないクエリにも配信されてしまうリスクがあります。特にこのインテントマッチで運用する際は除外設定が重要になります。

  • 完全一致

    買い付けたものだけに配信されます。不確実性は減りますが、検索するCV確度が高いユーザーを獲得しきってしまうと配信量が低下し、効果が先細ってしまうリスクがあります。また新規の見込み顧客の流入が得られず、ビジネスの拡張性も低くなってしまう恐れがあります。しかし、意図しているものにのみ配信されるため、無駄なクリックによる費用は避けられることが運用上のメリットになります。

  • フレーズ一致

    完全一致から拡張したマッチタイプになります。インテントマッチほどの拡張性はないため、本来の意図を維持したまま、類似のもので検索したユーザーに対して広告をあてることが可能です。

それぞれのマッチタイプに特性がありますが、よくある使い方としては、初動でインテントマッチを活用し、ある程度拡張性をもたせた配信で運用し、その中で獲得の取れるものの傾向が分かったら、そのクエリをフレーズ一致や完全一致で買い直し、最適化を実施していくというものがあります。この様にすることである程度拡張性を担保しながら費用の無駄を削減できるためおすすめです。

除外キーワード設定の活用

上記のマッチタイプの説明で言及した通り、インテントマッチでは意図しない検索語句(クエリ)が表示されることが多々あります。

この意図しないクエリによる無駄なクリックを防ぐため、除外設定は必須です。例えば、先ほど上で掲載した画像を例にしてみましょう。

自社で運営している温泉では、一人旅にマッチしているものの、宿へのアクセスは車が主流となり、電車だけで行くのが困難な場合、インテントマッチ内のクエリにある「大宮から電車で行ける温泉」には該当しなくなります。

この場合、「大宮から電車で行ける温泉」を除外設定しないと、電車でアクセスしたいユーザーからのクリックが増えてしまう可能性があります。それだけでなく、クリックが増えることで、類似した別のクエリが表示される可能性があります。例えば、「電車旅 温泉」などです。

この様に電車に関するクエリが拡張されても、広告主の温泉は電車ではアクセスが悪いため、他の電車でアクセスしやすい温泉にCVを取られてしまい、結果として無駄な費用となってしまう可能性がある訳です。

そうならないためにも、自社のサービスと離れているワードやクエリに関しては除外の設定を行う必要があります。 クエリは随時変わるため定期的なチェックが必要ですが、その頻度は広告予算によって変わります。一般的には週次でチェックを行い、不要と判断されたものは積極的に除外する様にしましょう。

品質スコアの改善

買い付けたキーワードにはそれぞれ品質スコアが付きます。このスコアはオークション時にCPCを決定する指標の1つとなるため、スコア改善により引き下げることも可能です。

品質スコアは「広告の関連性」「LPの利便性」「推定クリック率」で構成されています。特に改善によるインパクトが大きいのは以下の2項目となります。

  • 広告文の改善(広告の関連性)

    最も改善しやすい項目になります。広告文とキーワードの生合成が取れているとスコアは上昇します。

  • ランディングページ(LP)の最適化(LPの利便性)

    2025年春のアップデートでGoogleが重要な指標として上げていた項目です。 単純に広告とLPの親和性だけにとどまらず、LPの表示速度やUIなどもスコアに影響を与えてきます。改善による広告効果へのインパクトは大きいものの専門性が必要になるため、代理店への相談がベターとなります。

    代理店へ相談する際は、代理店ごとにノウハウはもちろんのこと、LPの効果測定を行うツールの有無であったりも違ってくるため、複数の代理店へ調査依頼をして、商品やサービスと親和性がありそうな代理店を選定すると良いでしょう。

    また、代理店へ依頼せずとも、複数の代理店の診断を受けることで、指摘される箇所に被りが出てくることがあります。複数の代理店から指摘される項目は、早急に手をつける場所になってくる可能性が高いため、その箇所の修正に相性が良さそうな代理店を選定するというのも1つの方法となります。

予算が余る、足りない時の対処法

どんなに予算をコントロールして運用を行っていても、予算が余ったり、足りなかったりするときはあります。その様な場合のコントロールの仕方について解説していきたいと思います。

予算が余る場合

  • キーワード、ターゲティングの見直し

    予算が計画より余っている場合は、キーワードやターゲット層を拡大することで新たな見込み顧客を獲得できます。状況に応じてインテントマッチの追加などを実施すると良いでしょう。

  • A/Bテストやクリエイティブ訴求軸の追加

    余った予算を使い、広告文のA/Bテストを実施をすることもその後に向けて有効です。実際にどのような訴求が刺さるかはユーザーの反応を見ないとわからないことが多くあります。そこで、広告予算が余っているタイミングで複数の訴求軸を作りABテストなどの検証を実施してみましょう。

  • 入札単価の引き上げ

    予算が余ってしまっている場合、思ったよりも配信が出ていない、クリックされていないという場合があります。その時は、競合の入札単価が高く、配信が出せていない場合もありますので、上記の様な拡張ではなく、既存キーワードの範囲で入札単価の引き上げを行い、配信を拡大してみる事もおすすめです。ただし、単価を上げることで獲得が取れなかった場合CPAが上昇するため、注意が必要です。

予算が足りない場合

  • 配信の優先順位の見直し

    予算が不足している場合は、費用対効果の高いキャンペーンやキーワードに費用を集中投下し、成果が出にくい配信先は停止しましょう。この際に、単純にCPCが高いものを停止する方法と、CVしていても利益率が低いものを停止する方法があります。この辺りのバランスを上手く調整し、優先順位を付けるようにしましょう。

  • 無駄なコストの削減

    除外を強化し、無駄なクリックを減らすことも有効です。季節要因など一時的な要因で広告費が足りなくなってしまってる場合もあるので、除外設定を強化する場合は、強化用の除外キーワードリストを作成し、CPAが落ち着く季節になったらすぐに除外を解除できるような環境を整備することをお勧めします。

    リスティング広告は、広告費に直結する指標がユーザーの検索によって日々変化します。突然の効果悪化にパニックならないように、日々の数値の動きをしっかりと追っていくことを心がけ、少しでも違和感を感じることがあったらその原因を追求し、先んじて手を打つことができれば、広告費を上手くコントロールしながら運用することが可能になります。

まとめ

今回は、リスティング広告の予算について解説をいたしました。リスティング広告の予算を決めるということは、リスティング広告の戦略を立てるのと同じであることがわかったかと思います。単に上長から「何となく10万くらいで」と言われて設定するのは危険です。予算について考えると、リスティング広告だけでなく自社の商品やサービスへの理解も重要となります。

どうしても社内では回答がでない場合、一度代理店へ相談することも検討してみてはいかがでしょうか。多くの代理店では、導入前に課題の調査などを無償で行ってくれるところも多いため、複数の代理店に対して、無料相談をしてみるのも良いでしょう。 また、リスティング広告の予算は一度決めて終わりではなく、定期的な見直しと柔軟な調整が必要です。季節やトレンドに応じて市場や競合も変化します。 運用を代理店へ任せる場合でも、日々の数値の変化にきが付けるよう定期的な数値の確認をすることで広告予算活用の最大化を目指していきましょう。

WRITER

Google広告、Yahoo!広告、SNS広告(Instagram、X(旧 Twitter)、Tiktok)等で広告運用を担当。
クリック単価削減とコンバージョン率向上を実現する広告戦略を提供。データ分析に基づき、迅速な改善策を提案し、成果を最大化しています。

リスティング広告の予算の相場と費用の最適化について徹底解説!

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